琉球古武道 武具DIYしましょう。実践編その2

エークは「漕ぐ」「舵」だけに使われた?

Facebookで沖縄のサバニ大工の方にエークの使い方について質問した事があります。

エークはサバニの操縦用だけに使うものではないとの回答でした。

では、他にどんな使い方があるのか?

①大きな魚(サメ等)を叩いて〆る。

②荷物などを担ぐ(担ぎ棒)

③サバニを岸に上げるときに砂浜等を掘る。

④海に落としても「浮く」

とのことでした。漕ぐ事に特化すると長時間使っても疲れにくい軽い材料になったでしょう。①~④の用途でも使用するなら重量も強度も必要になってきます。また、海中で「浮く」事も重要なポイントです。

硬い「黒檀」は沈んでしまうので海人の実用品としては使えません。うっかり海の落としてエークが沈んでしまったら航行不能になります。

画像(下)エークに漁具を掛け手担ぐ

モッコクが使われた理由

腐り難い材木であり、「漕ぐ・舵の他に①~④」の用途を考慮し、しかも沖縄に自生している木材に限定すると「モッコク」になったんでしょう。

実際のモッコクは漕ぐだけの用途なら結構重い材料だと思います。材木の重さの基準(比重)で調べると「カシ」と同じぐらいでした。

余談?

ここまでの説明は「なるほど」と思いながら書いたのですが、もし自分が海人ならと考えた場合、サバニを漕ぐ時は軽いエークを使い。①~③に対応するために別の道具を用意したでしょうね。

大型の魚を〆るように短めの棍棒やナイフ、荷物を担ぐには竹でも良いんじゃないですかね。浮きますし

ちょっと大着かもですね。エークを十徳ナイフみたいにしていたのでしょうか?或はサバニが本当に小さく携行品を最小限にする必要があったのかもしれません。

舟の中にたまった潮水をくみ出す道具である。舟にたまった潮水のことをアカと呼ぶことから、アカトゥイともいう。
写真のものは底が湾曲した糸満ユートゥイと呼ばれるもので、マツの根元が使われている。
沖縄の漁師は、サバニと呼ばれる伝統的な舟を利用した。サバニは、古くはシイやマツ、あるいはスギの木を使ったくり舟であった。くり舟は小型で、しかも不安定であったので、しだいに改良が加えられ、1880(明治13)年頃、スギ板を組み合わせたハギブニが、糸満ではじめて造られた。

収蔵および写真提供: 沖縄県立博物館

「糸満海人工房・資料館」に展示されている海人(ウミンチュ)が使っていた海包丁。

つづく

琉球空手・琉球古武道信武舘 本田道場