質問が変える稽古のかたち ― シニア古武道の現場より

想定外の質問に気づかされること

稽古中、会員の方から質問を受けることがあります。

その多くは、動作のコツに関する内容なのですが、時にどう返答すればよいか迷ってしまう質問もあります。

それは、“想定外”の質問になります。つまり、私の経験上、苦労せずに出来てしまった箇所について「どうすればうまくできますか?」と聞かれる事です。

そんな時はまずはナゼうまくいかないのか、原因を一緒に探るところから始めなければなりません。私自身が苦労して身に付けた動作であれば、原因についてある程度予測が立てられるのですが、そうでない場合は少し時間がかかってしまうのが正直なところです。

先日の稽古では、古武道で使用する「サイ」の振り方について質問がありました。

今回の質問における原因は、サイを持ちかえる際に「落としてしまうのでは」という不安から、動作が小さくなってしまっていることが分かりました。そこで、落下の不安を払拭し、安全・安心して稽古ができる方法が無いか一緒に考えた結果、新たな練習方法がひとつ生まれました。

「なるほど、こういうアプローチがあったか」と、目から鱗が落ちるような気づきがあり、少し嬉しくなる瞬間でした。

こうして、想定外の質問を通じて新たな発見があることは、指導する側にとっても大きな学びです。これからも、一つひとつの問いに丁寧に向き合いながら、稽古を深めていけたらと思います。

沖縄小林流空手・琉球古武道信武舘 本田道場
Ryukyu Karate Kobudo Honda Dojo