武道は十人十色──シニアにもやさしい古武道と空手の学び方

琉球古武道と空手に見る「形(かたち)」と「実」の本質

沖縄で琉球古武道と空手を学び始めて戸惑ったのは、「形(かたち=見た目)」へのこだわりが思った以上に少なく、むしろ中身――つまり技としての実用性や効果――に重きを置いている点でした。これは、見た目の盛り付けが美しくても味がいまいちな料理と、多少見た目は悪くても非常に美味しくて、体にしっかりと栄養が届く料理との違いに似ているかもしれません。言い換えると私自身が「形(かたち=見た目)」にこだわっていた事になります。

評価しいくい“実”の価値

特に琉球古武道は、武器を用いる分、動きに制限や個人差が出やすく、空手と比べても見た目の統一性にはあまり重点が置かれていないように感じます。同様に、空手も本来は「実を取る」べきであり、「形(かたち=見た目)」だけを追い求めるものではないはずです。これは、競技化の弊害かもしれません。「実」を評価することは難しい。

年齢に応じた武道の“正解”

琉球古武道と空手の特有の動きは未経験者、特にシニア世代にとっては難しいものです。では、身体的な理由(老化)で基本(基準・手本)とされる動作ができない場合、どうすればよいのでしょうか? 本土空手の競技基準(見た目とスピード)では「✖」とされるかもしれません。しかし、今この瞬間(年齢的な衰え)最も効率よく力を発揮できるのであれば、それは「〇」でいいのではないでしょうか。見た目は悪くても、しっかりと効き目のある“美味しい料理”というわけです。

生きる力としての武道

武道は本来、自分の体と向き合いながら一生を通じて続けていくものだと思います。特にシニアの方々には、無理をせず、自分に合った動きで取り組むことが大切です。琉球古武道と空手、どちらも“形(かたち)より中身”を重視するという原点を思い出させてくれる、深い学びがあると感じています。

沖縄小林流空手・琉球古武道信武舘 本田道場
Ryukyu Karate Kobudo Honda Dojo