沖縄空手・琉球古武道(術) 武具の入手(ティンベー)

鐘川のティンベー

琉球古武道信武舘審査規定において3段位審査科目「その他の武具」の欄には「鐘川のティンベー」とあります。この「形」は盾と矛(短い槍)を武具として使用します。非常に琉球古武道らしい特徴のある「形」になります。ネット検索すると亀の甲羅で作った盾を左手に短い槍を右手に持って演武する動画がヒットします。

2段位に合格して直面するのが「ティンベーの入手問題」です。本部道場の武具収納棚には幾つかのティンベーが保管されているので容易に入手できると思っていたのですが、「よし次は3段位だぁ!」となって初めて「えっ!ティンベーはどこで購入できるの?」となります。私自身も2段合格後にティンベー探しに奔走しました。

答え:「日本国内での購入は難しい。結果、DIY」です。

DIYの材料を探す上で既に現状が盾に似た物と考えると「洋式トイレの蓋」「金属製のお盆」「タイヤのホイルキャップ」「ごみバケツの蓋」等が候補になりました。これらに取っ手を付けるだけでティンベーとしては十分に使用可能となります。ゴミ箱の蓋はそのままで代用できます。でも、残念ながらカッコよくないのです。

現在、アオウミガメの譲り渡しは禁止となっています。日本国内で「亀の甲羅製ティンベー」を販売している武道具店は見当たりません。「亀の甲羅」形状のティンベーを入手する方法は海外メーカーからFRP等で作成した物を輸入するしかありません。日本国内では購入できない武具が海外メーカーから購入できる。これが琉球古武道普及の現状です。

下段画像のティンベーは全て同じサイズである事から天然の亀の甲羅でない事は一目瞭然です。一つの型から量産している事が伺えます。(Tinbe = turtle shield for Ryukyu kobudoとして海外メーカーで紹介されています。)

本来のティンベー

元々の素材が何だったのか定かではありませんが、亀の甲羅は演武用であり実用品ではなかったのではないでしょうか。琉球で盾の素材として入手できたものは・・・?「クバ(ビンロウ)で編んだ笠?」「当時の琉球で鉄は容易に入手できたの?」等と思いを巡らせるだけでも楽しいものです。

下段画像は中国拳法で使われている藤(ラタン)製の盾になります。こんな感じだったんのかもしれません。

武具を自作する事を煩わしく思うか、琉球古武道を稽古する楽しさの一つとするかは人それぞれです。

琉球空手・琉球古武道信武舘 本田道場
Ryukyu Karate Kobudo Honda Dojo