沖縄小林流空手・琉球古武道(術) ヌンチャクについて
木製品は唯一無二
ヌンチャクの稽古で会員の振りを見ていた時のことです。会員のヌンチャクを借りて指導しようとすると、「あれ?」と思うほどヌンチャクが軽く、驚きました。振り難い筈です。私と同じS堂のヌンチャクなのに、これほど違いがあるのかと。当然ですが、ヌンチャクはある程度の重量がなければ上手く振ることができません。
これは、密度の高い良質な材料が減ってきたため、6尺棒が太くなっているのと同じ理由だと感じました。
第9条 古武道で使用する棒は、カシやコクタン等の硬木類で製作され、長さは180cm以上、重さは男子900g以上、女子800g以上、形は丸形とする。
2 古武道で使用するサイは、鉄製(メッキも可)又はステンレス製で、長さは演武者の肘の長さ以上、重さは1本につき男子650g以上、女子550g以上、形は沖縄伝統サイの形状とする。
3 演武中、サイを投げる所作については、サイを投げたり、床に突き刺す行為は禁止する。
4 棒及びサイは、滑止めのための彫込みや重心移動のための鉄芯の埋込み等、いかなる細工も認めない。
5 選手は、事前に使用する棒やサイの検査を受け、検査済を示すシールを貼付しなければならない。シールのない棒やサイは、競技で使用することは認めない。<沖縄空手世界大会競技規定より>
沖縄の館長に以前お話を伺ったことがあります。沖縄では以前から古武道の大会が開催されており、その際に競技規定が設けられたそうです。その結果、武道具店は6尺棒を競技規定に合わせて販売するようになったとのことです。(上記引用文参照)
ご覧の通り規定には太さの記載はありません。重量を調整するために太さが決められていないのでしょう。最近販売されている6尺棒は太くなっているように感じますが、900gをキープするために棒自体を太くせざるを得ないのだと思います。自然素材であるため、ばらつきがあるのは当然ですが、重量を維持できる密度の高い素材が減ってきてるのが原因でしょう。
競技規定に含まれていないヌンチャクは、重量調整をせずに既存の形状のまま作ると、必然的に軽くなってしまうのだと想像できます。
今後、良質な材料が少なくなれば、6尺棒はますます太くなるでしょう。太くなると当然武具としては扱い難くなるので、代替え品として黒檀や紫檀といった高価な材料を選択せざるを得なくなるかもしれません。いずれにしても数量・価格共に入手困難になりそうです。
余談
古武道を習いに入門してくる人たちの多くは既に武具(ヌンチャク・サイ)を所有しています。ヌンチャクは長さと重量、サイは特にバランスが重要になります。事故を避ける為に武具の購入は知識のある人にアドバイスしてもらいましょう。
琉球空手・琉球古武道信武舘 本田道場
Ryukyu Karate Kobudo Honda Dojo
